投稿日 | : 2003/02/09(Sun) 00:27 |
投稿者 | : ネッシー5世 |
Eメール | : |
URL | : |
タイトル | : オーロラ発生条件 |
こんにちは。
わたしは一応オーロラとその関連分野を研究している者です。
こうした立派で且つアカデミックなページがあることは、
大変喜ばしいことと思います。
さて、貴ページにはオーロラ発生条件の記述がありますが、
多少疑問を感じる点がありました。一般の方には、現在正しいと
思われる知識を伝えていくべきと思いますので、僭越ながら
書き込ませてください。
(1)太陽黒点の活動
太陽風と地球上層大気が直接衝突することは、アラスカのような
オーロラ帯では極めて稀です。スバールバルのような高緯度に
行かなければ太陽風と直接(厳密には間接的ですが)衝突した結果の
オーロラを見れません。一般の方が見るような、オーロラ帯における
夜のオーロラが、太陽風からの粒子によって直接作られている、
という観測結果は報告されていません。また地球起源の粒子も
多く地球近くの宇宙空間に含まれているので、一概にオーロラを作る
粒子はすべて太陽風起源とは言い切ることができないのです。
(2)地磁気活動(磁気嵐)
地磁気活動とオーロラはいい関係にはありますが、磁気嵐とオーロラの
関係となると「?」です。磁気嵐の時のオーロラの特徴は、オーロラ帯が
低緯度まで下がり、ぼんやりしたオーロラ、時には真っ赤になるような
オーロラが出ることです。オーロラ帯が低緯度に下がってしまうと
アラスカではオーロラは見えません。むしろ、磁気嵐よりも
「サブストーム」と呼ばれる現象に着目したほうがよいと思います。
しかしながら「サブストーム」は地震と同じように、エネルギーの突然の
解放によっておこると言われてますので、予測は極めて困難です。
また「プラスとマイナスが出会うために、磁力線に沿って地球に
向かいます。」という記述はまずいと思います。プラスとマイナスが
出会うだけではオーロラ帯は説明できません。オーロラ帯
(オーロラオーバル)の形成を説明するにはあと10行程度必要です。
(3)大気中の微粒子密度
大気密度が濃ければオーロラの発光強度が強まるかといえば、
そうでもないようです。むしろ、大気密度が低いほうがよいという考えが
現在の学界の主流です。つまり、プラズマ化した大気密度が低い→
電気伝導度が低い→一定の電流を流すには多くの電位差が必要→
電子が高エネルギーにまで加速される→強いオーロラが発生、
という理屈です。
この学界でも、オーロラ爆発を引き起こすサブストームの発生機構が
大きなトピックになっていて、何十年も議論の種になっていますが
一向に解決の気配はありません。それだけに難しいオーロラの発生機構
ですから、オーロラの専門家であってもオーロラ発生の予測は
ほとんど不可能といえます。
おなまえ Eメール 非表示 タイトル メッセージ 手動改行 強制改行 図表モード
URL パスワード (英数字で8文字以内) プレビュー